背板のない本棚で部屋と部屋を仕切る

 諏訪神社は重要無形民俗文化財にも指定されている「長崎くんち」で有名な神社。9月9日に行ったことから「くにち」と呼ばれ、長崎弁で「くんち」となったのだそう(説として)。そんな諏訪神社の神様に守られるように、その麓に広がっている新大工町。昔は玉屋デパートや新大工町市場でにぎわっていましたが、最近では少し寂しくなりかけていました。そんなタイミングで再開発が始まり、分譲マンションと商業施設の複合施設「ファンスクエア」も完成して、再びにぎわいが戻ってきそうな勢いがあります。長崎市役所の新庁舎がより近い距離に完成したことも期待感を膨らませてくれます。

 そんな新大工町の電車通り沿いに建つマンションをリノベーションしました。小柄ながら道路に対して間口の広い部屋は、窓の面積が広く、日当たりもすこぶる良い。1LDKの部屋をつくるプランで、明るい道路側をリビングルームとし、キッチンはリビングとは別に独立させました。ベッドルームは遮音性を考えて道路とは反対側の奥に配置。あえて壁で仕切らず、背板のない本棚で仕切ることで、採光を取って明るい部屋にできました。本棚のレイアウトは、均等ではなく、様々なサイズの本やモノが収納できるようにデザインしました。機能的に施したそれは、見た目のアクセントにもなったように思います。

 玄関には、室内に入る前にもう一枚ドアを設けることで、エアコン効率を上げる効果と共用部への音漏れ防止ができました。室内の床には、調湿効果があり、経年変化が楽しめる無垢材を採用。それに対して、キッチンの床にはレトロな色合いで木とは質感の異なる床材、各所の照明器具はデザイン性のあるものをコーディネイトしたことで、全体としておしゃれな部屋に仕上がりました。

Before

元はそれほど特徴のない1DK。

After

ベッドスペースを壁や建具で仕切っていないので広い1Kと見なすこともできますが、3帖のベッドルームとリビングルームとキッチンで1LDKとしてデザインしています。施工前と比較して、水回りの機能は増えていませんが、リビングから見て、キッチン以外の水回りが壁の中に収められているのでスッキリとした印象に。玄関の内側にも建具を一つ追加したことによって、廊下への音漏れ防止(その逆も)やエアコン効率も上がっています。

新大工町のブック・ハウス

エリア|長崎市新大工町
設計・施工|ABC不動産
デザイン|辻郷 麻理
施工時の築年数|33年

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