スケルトンのままで住む

 リノベーションの醍醐味は、残す部分とリフォームする部分、壊して削る部分と新しく追加する部分、それらを巧みに調和させながら、そこに住む人の暮らしをデザインしていくこと。ときにはすべてをスケルトン状態(柱や壁など壊せない骨組み部分だけを残してそのほかをすべて解体すること)に戻して、すべてを新しくつくり直すこともあります。本案件は、貸し事務所を賃貸住宅にリノベーションした例ですが、そのほとんどをスケルトン状態のまま残した稀有な事例です。

 プランはとてもシンプルなもので、すべてを一度解体して、住居に必要な水回りをすべて新設しました。ベッドルームとなる広いリビングは、空間が広く見えるように天井を抜きました。天井のボードを解体してみると、いい感じの格子状の木枠が出てきたので、住む人がこの木枠にスポットライトを取り付けたり、エジソンバルブのような電球をちりばめたらきっとおしゃれになる、そう想定してそのまま残しました。あとは、壁を塗装し、床はタイルを剥がして完成。本当はタイルの接着剤のあとをきれいに取って、クリアー仕上げでツヤ感を出すともっと良かったと思いますが、今回はそのままにしています。来訪者は「工事中?」と驚くことでしょう。

 あえて住宅用の床にしないことで、欧米スタイルで靴のまま住むことができます(屋外用のビルケンシュトックがおすすめ)。一応、住居用としてつくりましたが、シャワー付きの事務所として引き続き業務用にも使えます。あるいは、その両方を併せ持ったホームオフィスとしても利用可能です。福山雅治の「SCOOP!」や大泉洋の「探偵はBARにいる」、柴田恭兵の「べっぴんの町」などの映画の主人公の部屋を思わせるクリエイティブ(ワイルド?)なホームオフィス・デザインで、とにかく住居には見えません。けれど、コロナ禍以後、そういった住まい方もあるのではと思います。

Before

元々は1フロアに2つの事務所がありました。図面で見て、入口の右側がもう一つの事務所。左側には給湯室がありました。

After

浴室と脱衣室はもう片方の事務所を削って配置(事務所は両方ともリノベーションしました)。給湯室に新しい流し台を取り付けキッチンスペースに。ベッドルームとはわけて広めの1Kとしました。住居としながらも、オフィスとしても使える間取りになっています。

今博多のスケルトン・マンション

エリア|長崎市今博多町
設計・施工|ABC不動産
プランニング|古川 武幸
デザイン|辻郷 麻理
施工時の築年数|43年

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